ヨーロッパのルネサンス期を区分していきますと「プロト・ルネサンス」が、まず最初の段階に登場してきます。プロト・ルネサンスは、中世の美術から解き放たれるターニングポイントとも言えるでしょう。プロト・ルネサンスは、ルネサンス美術のはじまりでもあり、原型でもあると考えられているようです。そのなかでも画家ジョット・ディ・ボンドーネは、1303~1305年に「最後の晩餐」を完成させておりますが、彼の作品について特筆しておくべき箇所は、作品に描かれている人物描写でありましょう。ルネサンス期以前の時代に描かれた人物たちは、聖人や神々として人間的な表現が失われておりましたが、彼が手掛けた作品に登場する人物たちは、個々に人間的な描写がみられイエスや聖人たちの存在をより人間に近いものとして表現しようとしていたような意図がうかがえます。ジョットは中世の時代に描かれたいた絵画の枠を外れるとともに革新的な表現を試みた芸術界の改革者などとも称されていいるようです。